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Proxy Marraigeと同伴家族ビザ

婚姻当事者の両者が物理的に同席していない状態での婚姻を「Proxy Marraige」と呼びますが、コロナ禍で遠距離カップルによるProxy Marriageをした場合の配偶者ビザについてのお問い合わせが増加しています。

米国で就労する非移民ビザ保持者の扶養を受ける配偶者には「同伴家族」の資格が与えられるため、主たるビザ保持者に伴って米国に入国・滞在することが認められています。Proxy Marriageで婚姻した配偶者は移民法上の「配偶者」と認められない場合がありますので、同伴家族のビザが取得できるかどうか検討する必要があります。

移民法上、両婚姻当事者が物理的に同席していない状態で結婚した場合は、婚姻が「完成」された場合を除いては、「配偶者」とは認めないと定められています。つまり両当事者が婚姻時に同席しないProxy Marriageの場合、移民法上の配偶者と認められるためには、婚姻が「完成」されたことを証明する必要があります。

Proxy Marraiageの場合、婚姻を「完成」させるためには、婚姻後、両者が同時期に同じ場所に物理的に滞在したという記録を証拠として提出する必要があります。具体的に、「完成」を証明するためには、飛行機のチケット、I94記録やパスポートスタンプ、ホテルの請求書、写真などが証拠となります。

通常、非移民ビザの同伴家族用のビザ申請において、配偶者であることを証明する書類として、「配偶者」との記載のある戸籍謄本の写しを提出します。日本の場合、そもそも、両婚姻当事者の合意があれば、両者が物理的に同席していない状態でも婚姻届けを出すことは可能です。ですから、Proxy Marriageであっても、「配偶者」の記載のある戸籍謄本の写しを提出することは可能ですが、婚姻日以降に婚姻が「完成」した証拠、つまり両者が物理的に同じ場所に滞在した履歴がないと、移民法上の配偶者とは認められませんので注意が必要です。

なお、Proxy Marraigeの場合で、さらに「完成」を証明できない場合は、移民法上の配偶者と認められないため、非移民ビザの同伴家族ビザは取得できませんが、B2ビザを”Proxy Marriage Spouse”カテゴリーで取得し、渡米して婚姻を「完成」させた後に、同伴ビザステータスへ切り替えることが認められています。

大統領令による非移民ビザ(H、L、J)の入国停止への例外規定について

トランプ大統領は2020年6月22日、新型コロナウイルス発生後の米国労働市場へのリスクとなる外国人の入国の停止」を公布し、特定の非移民ビザ(H、L、J)およびその家族によるアメリカへの入国を停止しました。

この大統領令により、以下の3要件をすべて満たす場合、H、L、Jでの米国入国が停止されることとなりました。①2020年6月24日時点で米国外に滞在していること②2020年6月24日時点で有効な非移民ビザを有していないこと③2020年6月24日時点で有効な、または発効日以降に発給され米国への入国及び入国申請を認める内容の、ビザ以外の正式な渡航許可証を有していないこと

ただし、米国の防衛・法の執行・外交・安全保障にとって重要である者、新型コロナウイルス感染者の治療に従事する者、米国内の施設において新型コロナウイルス対策のための医学研究に従事する者、または緊急的かつ継続的な米国の経済回復を促進するために必要な者については、「入国することが米国の国益に資すると判断された外国人」であるため、入国制限の例外とすると定めていました。

2020年8月12日に、国務省は新たにNational Interest Exceptions to Presidential Proclamations (10014 & 10052)を発表し、「入国することが米国の国益に資すると判断された外国人」のL,H,J各ビザについての判断基準を明らかにしました。この新しい例外規定より、先の大統領令による入国禁止規定の対象となると考えられていたL,H,Jビザ申請者の一部の入国停止が緩和される可能性があります。

弊社では、特に、入国停止措置の例外となると明示された以下のLビザの例外措置について多くの方からお問い合わせをいただいています。

「重要なインフラ関連事業」に携わる企業における①長年の勤続経験のあるシニアレベルの役員や管理者が重要なインフラ関連事業において不可欠な役割を果たす目的で渡米する場合、または②長年の勤続経験のある高度な専門知識を持つスペシャリストが重要なインフラ関連事業において重要かつ固有な貢献を果たす目的で渡米する場合

ここでいう「重要なインフラ」には、化学、通信、ダム、防衛、緊急サービス、エネルギー、金融サービス、食品および農業、政府機関、医療および公衆衛生、IT、原子炉、輸送、水道システムなどが含まれると規定されています。

解釈によってはかなり広範囲な分野での入国停止の緩和が期待されます。ただし、この例外規定が、実際のビザ審査においてどの程度厳格に運用されるのかは現時点では不明瞭です。大使館は実際に申請された個々のケースごとにビザの認可の可否を判断するというスタンスですので、申請してみないとわからないというのが実情です。いったん申請を却下されますと、申請した個人にはビザ却下歴がつきますので、それ以降の米国へのビザなし渡航ができなくなるというリスクがありますので注意が必要です。

2020年8月12日National Interest Exceptions to Presidential Proclamations (10014 & 10052)https://travel.state.gov/content/travel/en/News/visas-news/exceptions-to-p-p-10014-10052-suspending-entry-of-immigrants-non-immigrants-presenting-risk-to-us-labor-market-during-economic-recovery.html

同性婚と移民法①

◆同性婚と移民法①

~結婚防衛法DOMAの違憲判決とその影響~

 

2013年6月26日、米国最高裁が、連邦法においては男女間のみの婚姻関係に限られると定めた結婚防衛法(DOMA)は憲法違反であるとの判決を下しました。

 

米国では、州の法律と連邦の法律があり、結婚は州の法律のもと行われています。現在、ニューヨークを含む米国北東部の12州とワシントンDCでは、州法上での同性婚を認めてきましたが、1996年に制定されたDOMAにより、連邦法上では、男女間の婚姻しか認められていませんでした。したがって、たとえ州の法律のもとで合法的に婚姻関係を結んだ同性のカップルであっても、連邦法である移民法や税法上のもとでは、家族としての保護やベネフィットを受けることが認められていませんでした。

 

こうした取扱いは憲法違反であるとして訴えが起こされてきましたが、そのうちの「U.S. v. Windsor訴状」における判決において、6月26日、結婚を男女間に限ると規定した「DOMA」は差別であり憲法違反であるとする判決が下されたのです。

 

これまでは、DOMAによって、同性婚のカップルは法律上、パートナーの永住権申請を行うことが認められていませんでした。したがって、州において同性のカップルが法律上の結婚をしても、外国人配偶者のためにグリーンカードのスポンサーとなることはできませんでした。DOMAの規定により、これまで多くの国籍の異なる同性のカップルは、一緒にいるために米国を去るか、もしくは別れを選ぶかの選択を迫られてきました。こうしたカップルにとって今回の判決は大きな救済となることでしょう。

 

今回の最高裁の判決によりすぐに同性婚カップルに男女間の結婚と同等の取り扱いが全て保障されたわけではありません。たとえば、現在、同性婚を合法と認めているのは、12の州とワシントンDCのみ。また、DOMA2章の規定は、他の州で成立した同性婚を婚姻として認めない判断をする権利を各州に認めていますが、この2章は今回の最高裁での違憲判決の影響を受けません。つまり、最高裁の違憲判決後も、他州で成立した同性婚を自分の州で婚姻関係と認めるかどうかはそれぞれの州ごとの判断に任されています。

 

また、「Civil unions」や 「 domestic partnerships」などの結婚に似た「法的に承認されたパートナーシップ関係」については、法律上の婚姻関係とはみなされていません。 移民法上の手続きに関しても、審査に関する運用規則の整備にはまだまだ時間がかかると考えられています。

 

連邦法上で同性婚を認める判断が下されたことの最大の利点は、より多くの才能あふれる人材が米国に集まりやすくなる点だと考えれています。人権団体「イミグレーション・イクオリティー(Immigration Equality)」の発表によれば、米国内には、約36000組の同性カップルがおり、こうしたカップルの家庭には25000人の子供たちがいるとのことです。

 

米国移民法弁護士学会(AILA)は、今回の最高裁判決にあたり、次のようなコメントを出しています。「同性婚カップルとその家族は、移民法上の夫婦・家族と認められるべきと考えています。DOMAを違憲とした最高裁の判決は、全ての法律上の夫婦・家族に、移民法上の平等な権利を保障する足がかりとなるでしょう。我々は、すべての法律上の婚姻関係は、その性別に関係なく、移民法に関連する連邦法上の権利を認められるべきだと考えています。」

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