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大統領令による非移民ビザ(H、L、J)の入国停止への例外規定について

トランプ大統領は2020年6月22日、新型コロナウイルス発生後の米国労働市場へのリスクとなる外国人の入国の停止」を公布し、特定の非移民ビザ(H、L、J)およびその家族によるアメリカへの入国を停止しました。

この大統領令により、以下の3要件をすべて満たす場合、H、L、Jでの米国入国が停止されることとなりました。①2020年6月24日時点で米国外に滞在していること②2020年6月24日時点で有効な非移民ビザを有していないこと③2020年6月24日時点で有効な、または発効日以降に発給され米国への入国及び入国申請を認める内容の、ビザ以外の正式な渡航許可証を有していないこと

ただし、米国の防衛・法の執行・外交・安全保障にとって重要である者、新型コロナウイルス感染者の治療に従事する者、米国内の施設において新型コロナウイルス対策のための医学研究に従事する者、または緊急的かつ継続的な米国の経済回復を促進するために必要な者については、「入国することが米国の国益に資すると判断された外国人」であるため、入国制限の例外とすると定めていました。

2020年8月12日に、国務省は新たにNational Interest Exceptions to Presidential Proclamations (10014 & 10052)を発表し、「入国することが米国の国益に資すると判断された外国人」のL,H,J各ビザについての判断基準を明らかにしました。この新しい例外規定より、先の大統領令による入国禁止規定の対象となると考えられていたL,H,Jビザ申請者の一部の入国停止が緩和される可能性があります。

弊社では、特に、入国停止措置の例外となると明示された以下のLビザの例外措置について多くの方からお問い合わせをいただいています。

「重要なインフラ関連事業」に携わる企業における①長年の勤続経験のあるシニアレベルの役員や管理者が重要なインフラ関連事業において不可欠な役割を果たす目的で渡米する場合、または②長年の勤続経験のある高度な専門知識を持つスペシャリストが重要なインフラ関連事業において重要かつ固有な貢献を果たす目的で渡米する場合

ここでいう「重要なインフラ」には、化学、通信、ダム、防衛、緊急サービス、エネルギー、金融サービス、食品および農業、政府機関、医療および公衆衛生、IT、原子炉、輸送、水道システムなどが含まれると規定されています。

解釈によってはかなり広範囲な分野での入国停止の緩和が期待されます。ただし、この例外規定が、実際のビザ審査においてどの程度厳格に運用されるのかは現時点では不明瞭です。大使館は実際に申請された個々のケースごとにビザの認可の可否を判断するというスタンスですので、申請してみないとわからないというのが実情です。いったん申請を却下されますと、申請した個人にはビザ却下歴がつきますので、それ以降の米国へのビザなし渡航ができなくなるというリスクがありますので注意が必要です。

2020年8月12日National Interest Exceptions to Presidential Proclamations (10014 & 10052)https://travel.state.gov/content/travel/en/News/visas-news/exceptions-to-p-p-10014-10052-suspending-entry-of-immigrants-non-immigrants-presenting-risk-to-us-labor-market-during-economic-recovery.html

2020年6月22日公布の大統領令「新型コロナウイルス発生後の米国労働市場へのリスクとなる外国人の入国の停止」について

トランプ大統領は2020年6月22日、特定の非移民ビザ(H-1B、H-2B、L、J)およびそれに同行する外国人(家族)によるアメリカへの入国を停止するとする大統領令を公布した。新型コロナウィルスの影響による失業者の増加を受けて、すでに2020年4月22日に交付された大統領令10014号では、新型コロナウイルス発生後の経済回復期において米国内で自由に働くことのできる移民ビザで入国する外国人は米国市民から雇用の場を奪い経済回復を妨げる恐れがあるとの理由から、当該大統領令の交付後に発行された新規移民ビザでの60日間の入国を制限するとしていた。

この度新たに公布された2020年6月22日の大統領令では、すでに施行されている移民ビザでの入国制限を2020年12月31日まで延長するとともに、新しくH-1B、H-2B、L、Jの非移民ビザを取得して入国する外国人及びその同行者(家族)による入国を2020年12月31日まで停止することとなった。

本大統領令では、2020年2月から4月にかけて、米国内で、H-2Bビザ就労者の雇用を予定している産業分野で1700万以上の職が失われ、H-1BビザやLビザ就労者の雇用を予定している基幹産業分野で2000万以上の職が失われていること、さらに、Jビザ研修生の派遣により雇用の場を奪われる恐れのある若いアメリカ市民の失業率は16歳から19歳で29.9%、20歳から24歳で23.2%と特に高い数値を示していることを挙げ、H-1B、H-2B、L、Jビザでのこれ以上の外国人の入国を認めることは、新型コロナウイルスによる経済的混乱によって脅かされているアメリカ市民の雇用の機会を著しく阻害する恐れがあると述べている。労働力の過剰な供給は米国経済の復興を妨げるものであり、アメリカ市民のために労働市場の需要を安定化させるためにも、2020年12月31日までの間、経済回復期における米国労働市場へのリスクとなる移民及び非移民の入国を停止すると定めている。

本大統領令の具体的な規制内容は以下の通りである。

第1条 大統領令10014号の延長
先に公布された大統領令10014号(移民ビザの入国制限に関する規定)は、2020年12月31日まで延長され、その後も必要に応じて延長される可能性がある。また、当大統領令の発効日(2020年6月24日)から30日以内に、またその後は60日毎に、国土安全保障長官は国務長官および労働長官との協議を行い、必要に応じて大統領に大統領令10014号の内容の変更を提言するものとする。

第2条 入国の停止および制限
以下に該当する非移民ビザ保持者の米国への入国を停止および制限する。
(a) H-1BまたはH-2Bビザ保持者およびそれに同行する外国人
(b) Jビザ保持者(インターン,研修生,教師,キャンプカウンセラー,オペア留学生(au pair),サマーワーク&トラベルプログラム参加者など)およびそれに同行する外国人
(c) Lビザ保持者およびそれに同行する外国人

第3条 入国停止および制限適用の範囲
(a) 本大統領令による入国の停止および制限は以下の(i)から(iii)全ての条件に該当する者に適用される
(i) 本大統領令の発効日(2020年6月24日)時点で,米国外に滞在していること
(ii) 本大統領令の発効日時点で,有効な非移民ビザを有していないこと
(iii) 本大統領令の発効日時点で有効な、または発効日以降に発給され米国への入国及び入国申請を認める内容の、ビザ以外の正式な渡航許可証(トランスポーテーションレター、ボーディングフォイル、アドバンスパロール等)を有していないこと

(b) 本大統領令による入国の停止および制限は、以下の(i)から(iii)のいずれかに該当する者には適用されない
(i) 米国の合法的な永住権を有する者
(ii) 米国移民法101(b)(1)に規定される米国人の配偶者または子である外国人
(iii) 米国の食糧サプライチェーンのために不可欠な一時的労働またはサービスを提供する目的で米国に入国する外国人
(iv) 国務長官、国土安全保障長官またはこれらの指名する者により、入国することが米国の国益に資すると判断された外国人

第4条 実施と運用
(a) 在外公館領事は、外国人が本大統領令第3条(b)の例外規定のいずれかに該当するか否かを自身の裁量により判断することができる。国務長官は、国土安全保障長官および労働長官との協議のうえ自身の裁量で制定した運用基準に基づき、ビザに関する本大統領令の規定を運用するものとする。国土安全保障長官は、国務長官および労働長官との協議のうえ自身の裁量で制定した運用基準に基づき、外国人の入国に関する本大統領令の規定を運用するものとする。

(i) 国務長官、国土安全保障長官および労働長官は、本大統領令第3条(b)の例外規定に該当する外国人の判断基準を制定する権限を有する。例外規定に該当する外国人には、米国の防衛・法の執行・外交・安全保障にとって重要である者、新型コロナウイルス感染者の治療に従事する者、米国内の施設において新型コロナウイルス対策のための医学研究に従事する者、または緊急的かつ継続的な米国の経済回復を促進するために必要な者などが含まれる。国務長官および国土安全保障長官は、本大統領令第3条(b)(iv)および先に公布された大統領令10014号第2条(b)(iv)に規定された裁量権に基づき、本大統領令もしくは大統領令10014号第1条に基づく入国制限の運用の結果年齢制限を超えるためにビザの資格を失う可能性のある外国人の子女を入国制限の対象から除外するものとする。

(ii) 国務長官,国土安全保障長官またはこれらの指名する者は、本大統領令第4条(a)(i)の基準に基づき、その単独の裁量において、本大統領令第3条(b)(iv)に該当する外国人を特定することができる。

(b) 詐欺、重要な事実に関する故意の不実表示、または不法入国によってこの大統領令の適用を回避する外国人は、国土安全保障省による国外追放処分の優先的対象者となるものとする。

(c) 本大統領令のいかなる規定も、米国の法律に準拠し、拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は刑罰に関する条約に基づく、亡命、難民認定、国外追放の保留、または保護を求める個人の権利を制限するものではない。

第5条 その他の措置
(略)

第6条 終了条項
本大統領令は、2020年12月31日に失効し、その後も必要に応じて延長される可能性がある。また、本大統領令の発効日(2020年6月24日)から30日以内に、またその後は60日毎に、国土安全保障長官は国務長官および労働長官との協議を行い、必要に応じて大統領に本大統領令の内容の変更を提言するものとする。

第7条 発効日
本大統領令第1条の規定を除き、本大統領令は2020年6月24日午前12時1分(米国東部時間(夏時間))をもって発効する。

第8条 分離条項
(略)

第9条 一般条項
(略)

ビザの発給や入国制限に関する具体的な判断基準や運用ルールは6月25日現在明らかにされておらず、今後を待つ必要がある。本大統領令発効日時点で米国内に滞在中の方も、詳細が明らかになるまでは、安全を期すためにも、不要不急の国外への渡航は控え、今後の動向を見守るべきだろう。

2020年6月22日公布大統領令
https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/proclamation-suspending-entry-aliens-present-risk-u-s-labor-market-following-coronavirus-outbreak/

F/J/Mビザ保持者の不法滞在の算定起算日が変更されます

米国移民局(USCIS)は、学生(F)ビザ、交換訪問者(J)ビザ、職業訓練(M)ビザ保持者及びその家族の不法滞在(unlawful presence)の算定の起算日に関する新たな指針を発表しました。この指針は2018年8月9日より発行します。

通常、F/J/Mビザ保持者は、入国の際に「Duration of Status」の滞在期間を付与されますが、これはステータスが有効な限り合法的に滞在できるということを意味しています。これまで、Duration of Statusを付与されて入国したF/J/Mビザ保持者の不法滞在については、①他の移民法上の手続きにおいてUSCISが非移民ステータスへの違反があると正式に認めた時、または②移民裁判官が国外退去処分を命じた時、のいずれか早い時点を起算日とするとされてきました。つまり、①あるいは②に該当するまでは不法滞在にはならないと解釈されてきました。

しかし、2018年8月9日より発行する新たな指針により、今後、F/J/Mビザ保持者及びその家族の不法滞在の算定の起算日は以下のように変更されます。

まず、2018年8月9日より前に、ステータス違反が生じていた場合、2018年8月9日より不法滞在期間が開始します。ただし、USCISが非移民ステータスへの違反があると正式に認めた日の翌日、入国の際Duration of Statusではなく特定の期日の滞在期間が付与された場合はその期日の翌日、あるいは移民裁判官が国外退去処分を命じた日の翌日のいずれかが2018年8月9日より前である場合には、そのいずれかもっとも早い時点が起算日となります。

次に、2018年8月9日以降に、F/J/Mビザ保持者にステータス違反が生じた場合には、以下の①から④の要件いずれかに該当したもっとも早い時点を不法滞在の起算日とします。①許可された学習プログラムや認められた活動を中止した、または許可されない活動に従事した日の翌日、②許可された学習プログラムや認められた活動(プラクティカルトレーニング及びグレースピリオド含む)を終了した日の翌日、③入国の際Duration of Statusではなく特定の期日の滞在期間が付与された場合はその,期日の翌日、④移民裁判官が国外退去処分を命じた日の翌日。

この新たな指針により、2018年8月9日以降はF/J/Mビザ保持者は、上記①から④のいずれかに該当した時点で不法滞在となりますので注意が必要です。F/J/Mビザ保持者の同伴家族の滞在期間は、主たるビザ保持者に準ずるとされていますので、F2、J2、M2ビザで滞在されいるご家族は、それぞれ主たるF1、J1、M1ビザ保持者が不法滞在となった時点で同時に不法滞在となります。

尚、F/J/Mビザ以外の不法滞在の算定方法は現行のままとなっています。

追加証拠請求および却下予定通知に関する新たな指針

2017年4月にトランプ大統領は大統領令「Buy American, Hire American」に署名し、「アメリカ・ ファースト」を実現するための移民政策の見直しに、積極的に取り組む姿勢を表明しました。

2017年10月には、ビザの更新申請に関する新たな指針が発表され、更新申請であっても新規ビザ申請と同様の審査基準を満たさなければならないことになりました。

昨年のH-1B専門職ビザ審査では、追加資料の要請が、前年度に比べて2倍以上行われる事態となりました。移民局の統計によれば、2017年11月の申請却下率は17.6%にのぼり、2016年同月の却下率の2倍を超えました。

2018年7月、USCISは、追加証拠請求および却下予定通知に関する新たな指針を発表しました。

https://www.uscis.gov/news/news-releases/uscis-updates-policy-guidance-certain-requests-evidence-and-notices-intent-deny

これにより、最初に提出された申請書に必要な証拠が含まれていなかった場合または提出された証拠が適格でないと判断された場合には、追加証拠請求(Request for Evidence)や却下予定通知(Notice of Intent to Deny)を発行することなくビザ申請を却下する裁量が審査官に与えられることになります。この指針は、2018年9月11日に発効し、当該日付以降に受理されるすべてのビザ申請に適用されます。(ただし、小児就労のための延期措置(DACA)請求のみは例外とされます)。例えば、法律や申請フォームのインストラクションに明記された必要書類を伴わない申請が提出された場合、移民局審査官は、追加証拠請求および却下予定通知を発行することなく、申請を却下することが可能になります。当局側は、審査官に不完全または不適格な申請を却下する裁量を与えることで、審査の効率化を図ることが目的であるとしています。さらに、この指針により、根拠や理由のない申請を抑止する効果も期待でき、審査に要する費用の無駄を排除することができるだろうとも述べています。

一方、今回の指針の変更により、申請書類上の小さなミスが、国外退去処分などの重大な結果を引き起こすことになりかねない、と懸念する声が上がっています。

以上のように、2017年4月の大統領令への署名以降、外国人労働者のビザ審査の厳格化および雇用現場での移民取り締まりの強化が進められています。 移民法の法律自体への改正は行われていませんが、法律の適用の段階での審査基準や解釈が大きく変わってきているため、今後の 動向についても注視が必要です。

Nonimmigrant Visa Statistics 2017

国務省ホームページNonimmigrant Visa (NIV) Statistics内の、FY2017 NIV Detail Table のデータから、各ビザカテゴリーの発給数を知ることができます。

以下、日本人に多く取得されているいくつかのビザカテゴリーについて考察します。

まず、日本人のビザ取得おいて最も特徴的なのは、Eビザの取得件数の多さでしょう。2017年度において、E1(貿易駐在員)、E2(投資駐在員)ビザはそれぞれ全世界で7,063件と43,673件発給されています。このうち日本だけでの発給数はE1が1,543件、E2が14,360件となっており、それぞれ全世界の発給数の21.8%と32.9%を占め、世界一の発給数であることが分かります。日本に続くEビザ取得数を示すドイツでも、E1が1,306件、E2が4,267件となっていますので、日本のEビザ発給数、特にE2ビザ発給数 がいかに突出したものであるかが分かります。 E1E2ビザ合計の地域別発給割合は、ヨーロッパ39%、アジア41%、北アメリカ14%、南アメリカ4%、オセアニア1%、アフリカ0.3%となっています。

H1B(専門職ビザ)に関しては、全世界での発給数179,049件に対して、日本人の取得数は765件、割合でいうと0.4%のみにとどまっています。H1Bビザの年間取得者数はインド人が最多です。2017年度のインド人のH1B取得数は129,097件にのぼり、実に全世界の72%にも及びます。これは、IT業界で働くインド人エンジニアやプログラマーからの申請件数が群を抜いているためです。H-1Bビザを巡ってはその多くが、低賃金のインド系アウトソーシング企業の社員向けに発給されているといわれ、アメリカ市民の雇用を奪っているとの批判がありました。トランプ大統領がアメリカ市民の雇用を促す大統領令に署名し、H1Bビザ審査の厳格化を命じています。2016年度の統計と、2017年の統計を比較してみますと、今のところ数字上に大きな変化は見られませんが今後のH1Bビザの国別発給数の動向には大きな影響が及んでくる可能性があります。トランプ大統領は大統領令の発表に際し「現在、新規H1Bビザは無作為の抽選システムで審査が行われているがこれは過ちだ。」と語り、現行の抽選システムから、学歴や給与水準、貴重な技術を持った申請者に優先的に発給されるプライオリティーシステムへの移行を提案しています。

L1(企業内転勤者)ビザに関しては、全世界での発給数78,178件に対して、日本人の取得数は4,930件、割合でいうと6.3%となっています。L1ビザの年間取得者数は香港人が最多です。2017年度の香港人のL1取得数は22,355件にのぼり、全世界の28.6%を占めています。国際企業が多い香港ですが、中国にはアメリカと通商航海条約に基づくEビザの申請資格がないことなどが影響しているものと考えられます。B(短期商用・観光)ビザには、B1ビザ、B1/B2ビザ、B2ビザがありますが、全世界での合計発給数6,358,600件に対して、日本人の取得数はわずか6,311件のみ、割合でいうと0.1%となっています。日本はビザ免除プログラム対象国ですので、3か月以内ならビザなしでも渡航することができ、当然にBビザの発給数が低くなっています。Bビザの地域別発給割合は、アジア46.7%、南アメリカ25.2%、ヨーロッパ10.9%、北アメリカ10.1%、アフリカ6.7%、オセアニア0.4%となっています。

F1留学生ビザに関しては、全世界での発給数393,573件に対して、日本人の取得数は15,982件、割合でいうと4.1%となっています。F1留学生ビザ合計の地域別発給割合は、アジア68.2%、ヨーロッパ14.6%、南アメリカ6.9%、アフリカ5.4%、北アメリカ4.0%、オセアニア0.8%となっています。世界的に見てアジア圏からのF1留学ビザ申請の件数の多さが目立ちますが、アジア圏内国別にみると、1位中国、2位インド、3位韓国、4位日本となっています。F1留学生ビザに関しては、2016年度より全世界での合計発給数が16.6%も減少しているのが特徴的です。

トランプ大統領「RAISE法案」への支持を表明

アメリカのトランプ大統領は8月2日、与党共和党上院議員2名が提案する移民制度改革法案 The Reforming American Immigration for Strong Employment Act (RAISE法案)を支持すると表明した。

ホワイトハウスでの会見で、トランプ大統領は、現在永住権(グリーンカード)を取得している移民の多くが高い技能を持たない外国人で、アメリカ国民の雇用を奪っていると批判。RAISE法導入により、こうした技能を持たない移民を減少させることができ、結果としてアメリカ人労働者の賃金を引き上げるだろうとしている

「RAISE法案」は、米国経済に貢献できる高い技能を持つ申請者に優先的に永住権を付与するというもので、具体的には、年齢、学歴、英語能力、雇用先確保の有無、米国で投資する予定があるかどうかなどの項目でそれぞれのレベルによってポイントが付与される。例えば、学歴に関しては、高卒だと1、海外の大学卒5、米国の大学卒6、海外の大学院卒7、米国の大学院卒8、海外の博士課程修了10、米国の大学院卒13、などのポイントが付与される。年齢区分では50歳以上0、46-50歳2、41-45歳4、18-21及び36-40歳6、22-25及び31-35歳8、26-30歳10ポイント。英語については、低い0、並6、良10、優11、流暢12ポイントとなっている。同法案によれば、移民ビザ申請を行うためには、最低30ポイント必要とのこと。ノーベル賞受賞(25ポイント)、オリンピックメダル獲得(15ポイント)などがあれば話は別だが、実際30ポイントに達するのは、かなりハードルが高いと言えるだろう。

他にも、抽選による永住権の一部を廃止するなどとしており、10年間かけて、現在100万人いる移民の数を50万人に半減させるとしている。

今回の法案への支持表明は、トランプ大統領が掲げる「アメリカ・ ファースト」を実現するための移民政策の見直しに、積極的に取り組む姿勢をアピールする狙いがあるようだ。しかし、野党民主党や移民支援団体は法案に強く反発。「移民を減らすことは、アメリカの経済成長や潜在力を損うことになる」と批判の声が上がっている。さらに与党共和党の一部からも反発が出ていて、法案の審議は難航することが予想されている。

Nonimmigrant Visa Statistics

国務省ホームページNonimmigrant Visa Statistics内の、FY2016 NIV Detail Table のデータから、各ビザカテゴリーごとの発給数を知ることができます。

以下、日本人に多く取得されているいくつかのビザカテゴリーについて考察します。

まず、日本人のビザ取得おいて最も特徴的なのは、Eビザの取得件数の多さでしょう。2016年度において、E1(貿易駐在員)、E2(投資駐在員)ビザはそれぞれ全世界で8,085件と44,243件発給されています。このうち日本だけでの発給数はE1が1,803件、E2が13,609件となっており、それぞれ全世界の発給数の22%と31%を占め、世界一の発給数であることが分かります。日本に続くEビザ取得数を示すドイツでも、E1が1,457件、E2が4,329件となっていますので、日本のEビザ発給数がいかに突出したものであるかが分かります。 E1E2ビザ合計の地域別発給割合は、ヨーロッパ40%、アジア40%、北アメリカ14%、南アメリカ4%、オセアニア1%、アフリカ0.3%となっています。

H1B(専門職ビザ)に関しては、全世界での発給数180,057件に対して、日本人の取得数は1,011件、割合でいうと0.5%のみにとどまっています。H1Bビザの年間取得者数はインド人が最多です。2016年度のインド人のH1B取得数は126,692件にのぼり、実に全世界の70%にも及びます。これは、IT業界で働くインド人エンジニアやプログラマーからの申請件数が群を抜いているためです。H-1Bビザを巡ってはその多くが、低賃金のインド系アウトソーシング企業の社員向けに発給されているといわれ、アメリカ市民の雇用を奪っているとの批判がありました。先日、トランプ大統領がアメリカ市民の雇用を促す大統領令に署名し、H1Bビザ審査の厳格化を命じましたので、今後のH1Bビザの国別発給数の動向にも大きな影響が及んでくる可能性があります。トランプ大統領は大統領令の発表に際し「現在、H1Bビザは無作為の抽選システムで発給されているがこれは過ちだ。」と語り、現行の抽選システムから、学歴や給与水準、貴重な技術を持った申請者に優先的に発給されるシステムへの移行を指示しています。

L1(企業内転勤者)ビザに関しては、全世界での発給数79,306件に対して、日本人の取得数は4,791件、割合でいうと6%となっています。L1ビザの年間取得者数は香港人が最多です。2016年度の香港人のL1取得数は23,511件にのぼり、全世界の30%を占めています。国際企業が多い香港ですが、中国にはアメリカと通商航海条約に基づくEビザの申請資格がないことなどが影響しているものと考えられます。L1ビザ合計の地域別発給割合は、アジア51%、ヨーロッパ30%、南アメリカ8%、北アメリカ7%、オセアニア2%、アフリカ2%となっています。

B(短期商用・観光)ビザには、B1ビザ、B1/B2ビザ、B2ビザがありますが、全世界での合計発給数6,965,466件に対して、日本人の取得数はわずか6,729件のみ、割合でいうと0.1%となっています。日本はビザ免除プログラム対象国ですので、3か月以内ならビザなしでも渡航することができ、当然にBビザの発給数が低くなっています。Bビザの地域別発給割合は、アジア51%、南アメリカ23%、ヨーロッパ10%、北アメリカ9%、アフリカ7%、オセアニア0.4%となっています。

F1留学生ビザに関しては、全世界での発給数471,728件に対して、日本人の取得数は16,668件、割合でいうと3.5%となっています。F1留学生ビザ合計の地域別発給割合は、アジア71%、ヨーロッパ13%、南アメリカ6%、アフリカ5%、北アメリカ4%、オセアニア1%となっています。世界的に見てアジア圏からのF1留学ビザ申請の件数の多さが目立ちますが、アジア圏内国別にみると、1位中国、2位インド、3位韓国、4位日本となっています。

 

 

アメリカ大使館ビザ課 Twitter

アメリカ大使館ビザ課の公式Twitterアカウントでは、米国ビザに関する最新情報や申請に役に立つ情報が配信されています。

臨時閉館スケジュールや、クレジットカードの使用に関する注意、DS-160申請に関するアドバイス等々の情報を得ることができます。

Extreme Vetting (厳格審査)

トランプ氏が、ビザ審査を厳格化する大統領令に署名したことを受け、Extreme Vetting (厳格審査)とよばれる新しい審査プロセスが、緊急対応施策として導入されます。

具体的には、ビザ審査過程において、Extreme Vettingの対象となると判断された場合、DS5535の追加提出が義務付けられます。DS5535では、次の情報を追加提供する必要があります。

過去15年間の渡航歴およびその渡航費用の資金源についての情報
・過去15年間の全住所
・過去15年間の職歴
所有したことのあるすべてのパスポート番号および発行国についての情報
・全ての兄弟姉妹の姓名及び生年月日
・全ての子供の姓名及び生年月日
・現在および過去の配偶者(内縁の関係を含む)の姓名及び生年月日
過去5年間に使用したソーシャルメディアサービス名およびそのID・ハンドルネーム
・過去5年間に使用した電話番号およびEメールアドレス

ビザ申請者が、Extreme Vetting対象者となるかどうかはあくまで各領事館の領事の判断に任せられるとされています。各領事館は、対象者選定のための判断基準を各自設けることとされていますが、追加書類リクエストは、全体のビザ申請者の0.5%にとどまる模様です。なお、イスラム国(ISIS)の支配地域に滞在していたビザ申請者は領事館によるソーシャルメディアチェックを受けなければならないともされています。

DS5535にて提出された追加データは、国務省によるクリアランス(Security Advisory Opinion)を受けるための審査に回されることになっていますが、審査に要する期間がどのくらいなのか、またその審査基準などはまだ明らかになっていません。

今回の審査プロセスは、大統領令を受けての緊急対応施策として180日の有効期限の限定的なものとして導入されますが、180日経過後も延長される可能性があります。

日本人の場合、おそらく、Extreme Vetting対象者になる確率は低いでしょうが、過去にイスラム国の支配地域への渡航歴のある方については、追加書類のリクエストを受ける可能性が十分ありますのでご注意ください

Known Employer Pilotプログラム

2016年3月3日、米国国土安全保障省(DHS)は、雇用ベースのビザの申請プロセスを合理化するための新たな方法を検討するために、Known Employer Pilotプログラムを実施すると発表しました。 このプログラムの導入により、移民局(USCIS)の移民ビザおよび非移民ビザ申請における雇用主のスポンサー適格の審査プロセスが変更され、事務処理量や費用の削減、審査期間の短縮などの効果が期待されます。

このプログラムは、もともと、「Beyond the Border initiative」 という国防に関する情報を共有し両国の経済発展を促そうという米国・カナダ間の国境を越えた取り組みをベースに発案されたものです。2015年7月に連邦政府機関から大統領に提出された提言、「21世紀の入国管理システムの合理化」においても、このプログラムは導入すべき新たな施策として強調表示されています。なお、Known Employer Pilotプログラムは、米国・カナダ間に限定されず、つまり労働者の出身国に関わらず広く適用される予定です。

このパイロット(実験的)プログラムは、新たな審判プロセスの長期的な実現可能性を評価するために実施されます。この審査プロセスは、Webベースのドキュメントライブラリを中心に進められ、外国人労働者が個々のビザ申請を行う前に、雇用者は自己が選択したビザカテゴリーでのビザスポンサーとなるための一定の基準を満たしているかどうかをUSCISに事前に審査してもらうことができます。このパイロットプログラムは、1年間の限られた期間での実施となりますが、1年後にUSCISはプログラムを終了させるか延長させるか任意で決定することになっています。

Known Employer Pilotプログラムの実施目的は、次のとおりです。

・申請の事務処理量を減らす
・雇用ベースのビザ申請の裁定の一貫性を促進する
・効率をあげるためにUSCIS内の審判プロセスを合理化する
・入国審査(CBP)や大使館プロセス(DOS)の審査効率を上げる

現行のUSCISでの雇用ベースのビザ申請における審査手続きは、個々の外国人労働者が行うビザ申請ごとに、「雇用主のビジネスが真正であること」「予定される米国での職務内容」「職務に必要な要件」「外国人労働者の職務適格性」を審査官が審査しています。したがって、雇用主は、USCISに提出される各ビザ申請ごとに、雇用主に関する同じ書類や情報を提出する必要があります。審査は各ビザ申請ごとに独立して行われますので、USCISの審査官が「書類の再提出」を求める場合も多く、雇用主は別のビザ申請ですでに提出したことのある書類や情報を再度提出するというケースも少なくありません。

新たに導入されるKnown Employer Pilotプログラムでは、雇用主はUSCISに対して、自身が特定の移民ビザや非移民ビザカテゴリーの一定の条件を満たしているかどうか事前に審査してもらうようにリクエストすることができます。この「一定の条件」とは、一般的に、「雇用主の会社組織」「事業内容」「経営実績」などに関連するものです。雇用主は、この事前審査リクエストを行う際に、オンライン上のKnown Employer Document Library (KEDL)でアカウントを作成し、必要とされる書類と、Known Employer Program事前審査請求書(Form I-950)をアップロードします。USCIS審査官はこれらの書類を審査し、特定のビザカテゴリーのスポンサーとなる要件を雇用主が満たしているかどうかの事前審査を行うのです。

事前審査で許可が下りると、雇用主は個々の外国人労働者のビザ申請を行うことができますが、その際、すでに提出された雇用主に関する書類や証拠を再提出する必要はありません。USCISは、「事前審査に重大な瑕疵があった場合」「事前審査の再検討が必要となるような重大な状況の変化が生じた場合」「USCISの事前審査の妥当性に影響を与えるような新たな情報が明らかになった場合」などをのぞき、認可された事前審査の内容に従うことになります。つまり、このプログラムでは、事前審査の許可が下りた後になんらかの事実が変更された場合や、不正行為または重大な虚偽表示の存在が認められる場合以外は、USCISの審査官は、個々のビザ申請に関して、雇用主のビザスポンサー適格についての審査を行わなくてもよいことになります。 審査官は、個々のビザ申請に関して、「予定される米国での職務内容」や「外国人労働者の職務適格性」などのその他の申請要件についてのみ審査を行います。個々のビザ申請について入国審査や大使館プロセスをおこなう際、CBPやDOSの審査官も、KEDLシステムにアップロードされた書類を参照することができるようになります。

ただし今回実施されるKnown Employer Pilotは、あくまで実験的なプログラムであり、3月3日時点では、DHSとDOSは様々な業界、地域、事業規模から、9の雇用主のみを参加企業に指定してプログラムを開始しています。今後、参加企業数は増加すると見込まれていますが、現時点では、指定された雇用主のみのプログラム参加となっていますので、ご注意ください。なお、プログラムの適用を受けるビザカテゴリーは、移民ビザでは「傑出した教授・研究者(E12)」と国際企業の重役・管理職(E13)」、非移民ビザでは非移民ビザのカテゴリーでは、「H-1b専門職」「L-1A管理職」「L-1B専門職」「NAFTAに基づくカナダ・メキシコ市民(TN)」となっています。

1年間のKnown Employer Pilotプログラム終了後、DHSは、試験的プログラムの結果を発表し、結果が良好な場合には、全ての雇用主向けに常設プログラムの開始にむけて動き出すことになるでしょう。