アメリカのトランプ大統領は8月2日、与党共和党上院議員2名が提案する移民制度改革法案 The Reforming American Immigration for Strong Employment Act (RAISE法案)を支持すると表明した。
ホワイトハウスでの会見で、トランプ大統領は、現在永住権(グリーンカード)を取得している移民の多くが高い技能を持たない外国人で、アメリカ国民の雇用を奪っていると批判。RAISE法導入により、こうした技能を持たない移民を減少させることができ、結果としてアメリカ人労働者の賃金を引き上げるだろうとしている。
「RAISE法案」は、米国経済に貢献できる高い技能を持つ申請者に優先的に永住権を付与するというもので、具体的には、年齢、学歴、英語能力、雇用先確保の有無、米国で投資する予定があるかどうかなどの項目でそれぞれのレベルによってポイントが付与される。例えば、学歴に関しては、高卒だと1、海外の大学卒5、米国の大学卒6、海外の大学院卒7、米国の大学院卒8、海外の博士課程修了10、米国の大学院卒13、などのポイントが付与される。年齢区分では50歳以上0、46-50歳2、41-45歳4、18-21及び36-40歳6、22-25及び31-35歳8、26-30歳10ポイント。英語については、低い0、並6、良10、優11、流暢12ポイントとなっている。同法案によれば、移民ビザ申請を行うためには、最低30ポイント必要とのこと。ノーベル賞受賞(25ポイント)、オリンピックメダル獲得(15ポイント)などがあれば話は別だが、実際30ポイントに達するのは、かなりハードルが高いと言えるだろう。
他にも、抽選による永住権の一部を廃止するなどとしており、10年間かけて、現在100万人いる移民の数を50万人に半減させるとしている。
今回の法案への支持表明は、トランプ大統領が掲げる「アメリカ・ ファースト」を実現するための移民政策の見直しに、積極的に取り組む姿勢をアピールする狙いがあるようだ。しかし、野党民主党や移民支援団体は法案に強く反発。「移民を減らすことは、アメリカの経済成長や潜在力を損うことになる」と批判の声が上がっている。さらに与党共和党の一部からも反発が出ていて、法案の審議は難航することが予想されている。
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