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2020年6月22日公布の大統領令「新型コロナウイルス発生後の米国労働市場へのリスクとなる外国人の入国の停止」について

トランプ大統領は2020年6月22日、特定の非移民ビザ(H-1B、H-2B、L、J)およびそれに同行する外国人(家族)によるアメリカへの入国を停止するとする大統領令を公布した。新型コロナウィルスの影響による失業者の増加を受けて、すでに2020年4月22日に交付された大統領令10014号では、新型コロナウイルス発生後の経済回復期において米国内で自由に働くことのできる移民ビザで入国する外国人は米国市民から雇用の場を奪い経済回復を妨げる恐れがあるとの理由から、当該大統領令の交付後に発行された新規移民ビザでの60日間の入国を制限するとしていた。

この度新たに公布された2020年6月22日の大統領令では、すでに施行されている移民ビザでの入国制限を2020年12月31日まで延長するとともに、新しくH-1B、H-2B、L、Jの非移民ビザを取得して入国する外国人及びその同行者(家族)による入国を2020年12月31日まで停止することとなった。

本大統領令では、2020年2月から4月にかけて、米国内で、H-2Bビザ就労者の雇用を予定している産業分野で1700万以上の職が失われ、H-1BビザやLビザ就労者の雇用を予定している基幹産業分野で2000万以上の職が失われていること、さらに、Jビザ研修生の派遣により雇用の場を奪われる恐れのある若いアメリカ市民の失業率は16歳から19歳で29.9%、20歳から24歳で23.2%と特に高い数値を示していることを挙げ、H-1B、H-2B、L、Jビザでのこれ以上の外国人の入国を認めることは、新型コロナウイルスによる経済的混乱によって脅かされているアメリカ市民の雇用の機会を著しく阻害する恐れがあると述べている。労働力の過剰な供給は米国経済の復興を妨げるものであり、アメリカ市民のために労働市場の需要を安定化させるためにも、2020年12月31日までの間、経済回復期における米国労働市場へのリスクとなる移民及び非移民の入国を停止すると定めている。

本大統領令の具体的な規制内容は以下の通りである。

第1条 大統領令10014号の延長
先に公布された大統領令10014号(移民ビザの入国制限に関する規定)は、2020年12月31日まで延長され、その後も必要に応じて延長される可能性がある。また、当大統領令の発効日(2020年6月24日)から30日以内に、またその後は60日毎に、国土安全保障長官は国務長官および労働長官との協議を行い、必要に応じて大統領に大統領令10014号の内容の変更を提言するものとする。

第2条 入国の停止および制限
以下に該当する非移民ビザ保持者の米国への入国を停止および制限する。
(a) H-1BまたはH-2Bビザ保持者およびそれに同行する外国人
(b) Jビザ保持者(インターン,研修生,教師,キャンプカウンセラー,オペア留学生(au pair),サマーワーク&トラベルプログラム参加者など)およびそれに同行する外国人
(c) Lビザ保持者およびそれに同行する外国人

第3条 入国停止および制限適用の範囲
(a) 本大統領令による入国の停止および制限は以下の(i)から(iii)全ての条件に該当する者に適用される
(i) 本大統領令の発効日(2020年6月24日)時点で,米国外に滞在していること
(ii) 本大統領令の発効日時点で,有効な非移民ビザを有していないこと
(iii) 本大統領令の発効日時点で有効な、または発効日以降に発給され米国への入国及び入国申請を認める内容の、ビザ以外の正式な渡航許可証(トランスポーテーションレター、ボーディングフォイル、アドバンスパロール等)を有していないこと

(b) 本大統領令による入国の停止および制限は、以下の(i)から(iii)のいずれかに該当する者には適用されない
(i) 米国の合法的な永住権を有する者
(ii) 米国移民法101(b)(1)に規定される米国人の配偶者または子である外国人
(iii) 米国の食糧サプライチェーンのために不可欠な一時的労働またはサービスを提供する目的で米国に入国する外国人
(iv) 国務長官、国土安全保障長官またはこれらの指名する者により、入国することが米国の国益に資すると判断された外国人

第4条 実施と運用
(a) 在外公館領事は、外国人が本大統領令第3条(b)の例外規定のいずれかに該当するか否かを自身の裁量により判断することができる。国務長官は、国土安全保障長官および労働長官との協議のうえ自身の裁量で制定した運用基準に基づき、ビザに関する本大統領令の規定を運用するものとする。国土安全保障長官は、国務長官および労働長官との協議のうえ自身の裁量で制定した運用基準に基づき、外国人の入国に関する本大統領令の規定を運用するものとする。

(i) 国務長官、国土安全保障長官および労働長官は、本大統領令第3条(b)の例外規定に該当する外国人の判断基準を制定する権限を有する。例外規定に該当する外国人には、米国の防衛・法の執行・外交・安全保障にとって重要である者、新型コロナウイルス感染者の治療に従事する者、米国内の施設において新型コロナウイルス対策のための医学研究に従事する者、または緊急的かつ継続的な米国の経済回復を促進するために必要な者などが含まれる。国務長官および国土安全保障長官は、本大統領令第3条(b)(iv)および先に公布された大統領令10014号第2条(b)(iv)に規定された裁量権に基づき、本大統領令もしくは大統領令10014号第1条に基づく入国制限の運用の結果年齢制限を超えるためにビザの資格を失う可能性のある外国人の子女を入国制限の対象から除外するものとする。

(ii) 国務長官,国土安全保障長官またはこれらの指名する者は、本大統領令第4条(a)(i)の基準に基づき、その単独の裁量において、本大統領令第3条(b)(iv)に該当する外国人を特定することができる。

(b) 詐欺、重要な事実に関する故意の不実表示、または不法入国によってこの大統領令の適用を回避する外国人は、国土安全保障省による国外追放処分の優先的対象者となるものとする。

(c) 本大統領令のいかなる規定も、米国の法律に準拠し、拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は刑罰に関する条約に基づく、亡命、難民認定、国外追放の保留、または保護を求める個人の権利を制限するものではない。

第5条 その他の措置
(略)

第6条 終了条項
本大統領令は、2020年12月31日に失効し、その後も必要に応じて延長される可能性がある。また、本大統領令の発効日(2020年6月24日)から30日以内に、またその後は60日毎に、国土安全保障長官は国務長官および労働長官との協議を行い、必要に応じて大統領に本大統領令の内容の変更を提言するものとする。

第7条 発効日
本大統領令第1条の規定を除き、本大統領令は2020年6月24日午前12時1分(米国東部時間(夏時間))をもって発効する。

第8条 分離条項
(略)

第9条 一般条項
(略)

ビザの発給や入国制限に関する具体的な判断基準や運用ルールは6月25日現在明らかにされておらず、今後を待つ必要がある。本大統領令発効日時点で米国内に滞在中の方も、詳細が明らかになるまでは、安全を期すためにも、不要不急の国外への渡航は控え、今後の動向を見守るべきだろう。

2020年6月22日公布大統領令
https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/proclamation-suspending-entry-aliens-present-risk-u-s-labor-market-following-coronavirus-outbreak/